配電線路事故に係わりがあると考えられる耐張がいし・中実ピンがいし・カットアウト等について、種々の組み合わせおよびその取り付け角度における火山灰汚損と漏れ電流の関係を調査・検討した結果、以下のことが明らかになった。 1.耐張がいしの漏れ電流は、降灰および降雨のみ場合非常に小さいが、降雨により火山灰が湿潤すると増大し変動する。また、個々のがいしの漏れ電流の大きさや位相は、それぞれ異なりしかも変動するので、電力系統で見ると各相の漏れ電流の大きさに不平衡を生じ、そのピーク発生の時間的なずれなどによって零相電流が増大する。これによって零相電圧が異常上昇し、停電事故に至るものと考えられる。 2.耐張がいしの取り付け角度が水平またはがいしのひだが下向きになる場合には漏れ電流は増大しないが、がいしのひだが上向きになると火山灰が溜まりやすくなり小雨などで湿潤するとがいしの絶縁抵抗が低下し漏れ電流は増大する。さらにコロナ発生を伴いその変動も大きくなる。がいしのひだが上向きになる場合には、逆方向に取り付けることにより下向きと同様の効果を得ることができる。 3.漏れ電流の大きさは火山灰の比電導度に比例するので、これを1つの目安として対策を講じればよい。 4.通常の耐張がいし2個連に比べ、耐張がいしと耐塩耐張がいしを組み合わせることにより漏れ電流の増大ならびに変動を抑えられ、耐張がいし3個連と同程度の効果が期待できる。耐塩耐張がいし2個連にするとさらに効果がある。 5.中実ピンがいしの漏れ電流は極めて小さく、配電線路事故にはほとんど影響を及ぼさない。 6.カットアウトは中間がいしを取り入れることにより漏れ電流を著しく抑えることができる。
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