研究概要 |
近年,産業用ロボットは生産ラインをはじめとする各種分野に幅広く導入されており,生産効率の向上ならびに高品質な製品の供給に寄与している.しかしながら,大量生産から多品種少量生産へ変遷しつつある現在では,より柔軟な動作が実現できるロボットの開発に関心が寄せられている.現在の産業用ロボットは単純な作業を繰り返し高精度に実現する大量生産には適しているが,製品により生産工程の異なる多品種少量生産へは適用が困難な状況にある.生産ラインのフレキシブル化が促されている今後の産業界においては,各種生産工程に適応し得るロボットの開発が必要となる.これには,ロボットの位置と力が別々に,しかも両制御が同一の作業方向に対し同時に実現できない従来の制御方法では不十分である.従って,位置と力の制御が適宜切り換え可能な新たな制御手法を確立する必要がある. 平成5年度では,上記の目的を達成するため,位置と力の制御が制御系の構造を変えることなく同一作業方向に対して任意に実現できる適応形のインピーダンス制御アルゴリズムを確立した.また,シミュレーションによりその有効性を確認した.さらに,あらゆる作業対象物に対して適応的な力追従動作を実現するため,作業対象物の硬さ(スチフネス)を最小自乗推定アルゴリズムを用いてオンライン推定し,上記インピーダンス制御アルゴリズムに付加することによって,より柔軟な動作を行える制御系を構成した.特に,ロボットが接触作業を行う際に,位置制御から力制御への移行がスムーズに行えることを実証した.
|