1.自然雷の雷鳴はその到達方向が特定できなく継続時間も長い。このような自然雷の雷鳴からパソコンで雷放電経路を連続再現する次の方法を明らかにした。 (1)自然雷の雷鳴の到達方向は予知できないので、3個のマイクロホン音を全空間に渡って相関解析する必要がある。このとき周期的なデータ部からゴースト音が生じることがあるが、この音は孤立して現れることが明らかになった。従って、基準距離以上離れた音を除去することによりゴースト音を消去することができる。 (2)30秒を超える継続時間の長い雷鳴データも約6秒ごとの連続したファイルに分割してAD変換する。解析するデータを検索するプログラムを追加することによってパソコンで、連続解析が可能になった。 2.石川県の獅子吼高原(標高650m)で、ロケット誘雷の雷鳴6例と自然雷の雷鳴7例の観測に成功した。これらの雷鳴を解析して、次の点を明らかにした。 (1)負極性雷放電路の平均高度は1.7kmであるのに対して、正極性雷放電路の平均高度は2.3kmと約600m高い。 (2)対地雷撃雷の雷鳴は雲放電の雷鳴よりSN比が大きく、雷鳴の最大信号を含む1秒間ごとに分割した平均振幅が背後雑音の8倍以上であれば対地雷撃雷である。 3.石川高専電気工学科の櫻野仁志助教授の協力を得て、平成6年の1月から2月に平地での冬季雷雷鳴を多く観測することができた。この雷鳴については今後解析する。 4.ノートパソコンを使用した雷鳴の自動観測システムを製作し、データレコーダで記録した雷鳴でテストした結果正常に作動することが確認できた。
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