有機分子の立体構造因子と化学結合力を応用した自己構築的吸着分子膜を吸着LB法を用いて光ファイバー上に形成し、瞬間マルチ測光システムによる光吸収スペクトルのその場測定を行った。また、累積中に展開分子あるいは吸着分子励起用の光をファイバーに入射することにより吸着LB膜の累積制御を試みた。以下に、得られた成果の要点を示す。 1.アクセプタ的性質を示す長鎖メロシアニン(C_<18>MC)吸着LB膜を光ファイバー上に累積し、吸収スペクトルのその場測定を行った結果、ファイバー上にLB膜の累積が可能であり、また、ファイバーを用いた吸収スペクトルの測定は高感度で単分子層以下の超薄膜の評価ができることがわかった。 2.ドナー的性質を示すマラカイトグリーン(MG)を吸着したC_<18>MC/MG吸着LB膜の累積時の吸収スペクトル変化について詳細に調べた結果、ピーク波長は累積層数が増すにつれて長波長側にシフトしており、展開・吸着分子間、層間の相互作用が示唆された。 3.C_<18>MC/MG吸着LB膜累積時にMC励起用543.5nmのレーザ光をファイバーに入射した結果、吸収スペクトルは全体的に小さくなった。また、累積層数の増加とともにMCの吸収帯の増加は観測されたが、MGの吸収強度は一定であり、光照射による吸着制御の可能性が示唆された。 得られた成果は光ファイバを使った吸着LB膜のその場測定は吸着LB膜の光学的特性は、吸着相互作用を研究する上で重要な測定手段と成り得ることを示したものである。
|