研究課題/領域番号 |
05650303
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大森 裕 大阪大学, 工学部, 助教授 (50223970)
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研究分担者 |
河合 壯 大阪大学, 工学部, 助手 (40221197)
尾崎 雅則 大阪大学, 工学部, 助手 (50204186)
吉野 勝美 大阪大学, 工学部, 教授 (70029205)
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キーワード | 有機薄膜 / 超格子構造 / 量子井戸構造 / 有機分子線蒸着法 / 電界発光素子 / 量子サイズ効果 / フォトルミネッセンス / トンネル電流 |
研究概要 |
有機薄膜を繰り返し積層した超格子構造において量子サイズ効果を見い出し、発光素子に応用し、そのスペクトルに特異な変化を見い出した。以下その概要について述べる。 1)強い発光を示すキノリノール錯体/ジアミン誘導体を用いて有機分子線蒸着法により薄膜多層構造の作製を行った。超格子構造の形成の確認は低角X線回折法により行った。超格子構造のフォトルミネッセンススペクトルは、キノリノール錯体からの発光とジアミン誘導体からの発光に相等する発光が観測されるが、超格子構造の膜厚が薄くなるに従い、特にキノリノール錯体からの発光は短波長側にシフトすることが観測された。これは、キノリノール錯体に閉じ込められたキャリアの量子サイズ効果と考えられ、高いエネルギー状態にキャリアの存在確立が大きくなったためと考えられる。 2)超格子構造を電界発光素子に応用したところ、超格子構造を持つ発光素子ではヘテロ構造素子に比べ発光スペクトルの半値幅が減少し、さらに、発光波長も短波長にシフトしていることが判った。これは、超格子構造による閉じ込め効果のためエネルギーの高い状態にキャリアの存在確立が大きくなるためと考えられる。 3)種々の有機薄膜を繰り返した超格子構造において、電流-電圧特性を求めると、ヘテロ構造素子においてはp-n接合が形成され強い整流性を示すが、超格子構造においては整流性を示すものと、非線形な対称性を示すものの2種類に分類されることが明らかになった。更に膜厚の薄いものでは電流-電圧特性にトンネル電流に起因すると思われる小さなキンクが現われた。
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