研究課題/領域番号 |
05650305
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 博明 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90144443)
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研究分担者 |
服部 公則 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (80228486)
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キーワード | アモルファス半導体 / 構造乱れ / 偏光エレクトロアブソープション / フォトレフレクタンス / バンド端電子状態 / 移動度 |
研究概要 |
本研究は、電場印加を用いた予備実験、偏光フォトレフレクタンス法の開発、シリコン系材料への応用の3つの研究項目から構成されている。電場印加を用いた予備実験では、プラズマCVDにより作製したバンドギャップの異なるシリコン系材料におけるエレクトロアブソープション信号の入射光の偏光ベクトルと印加電場のなす角(偏光角と略する)依存性を調べた。この偏光角依存性は理論解析から予測されるもとの完全な一致を示していることが確認され、そこからキャリアの平均自由行程およびバンド移動度を算出することができた。アモルファスSi(a-Si)にGeあるいはCを加えた合金化の効果を調べたところ、Geではその組成が約50%以上、またCでは約8%以上の合金化によって、バンド移動度がa-Siでの値から顕著な減少を示すことが判明した。これは、合金化による構造乱れの増加に起因した現象であると考えられる。上記したように、電場印加を用いたエレクトロアブソープション法では、合金化に伴う構造乱れを反映したキャリア平均自由行程、およびバンド移動度の減少を明確に捕えることができた。アモルファス半導体において、バンド移動度を直接的にしかも光学的手法で評価できる新しい手段を開発したことは、今後のこの分野の発展に大きく寄与するものと考えている。しかしながら、電場変調をパンプ光照射による試料表面ポテンシャルの変化で行なう偏光フォトレフレクタンス法への発展は、信号・雑音比等の技術的問題を短期間で解決するのは極めて困難であることが判明した。そこで、本研究計画においては、偏光フォトレフレクタンス法の基礎検討を続行しつつ、むしろ、エレクトロアブソープション法を駆使して、a-Si系材料の成長条件や組成、熱および光照射条件と構造、電子状態(平均自由行程およびバンド端指数関数テイル幅など)とキャリア輸送特性との関連性を議論し、成長条件の最適化ならびに光誘起構造変化の物理を理解を深めるための基礎データとすることとした。
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