良質な周波数スペクトルのマイクロ波源による水素希釈ゲルマン・ガスECRプラズマの励起により電子・イオンの制御性を改善し、また反応系の初期到達真空度を10^<-8>Torrオーダにして、Ge膜の高品質成膜を行った。絶縁基板上のGe膜に、マイクロ波電力9〜12W付近でアモルファス・微結晶の相転移が認められ、かつその付近でHALL電圧に符号反転が認められた。膜の光電特性ημτも相転移点付近で最高になり、導電性基板で得られた結果とほぼ一致した。相転移点でゼロになるHALL移動度μ_Hに対し、表面電界効果移動度μ_<FE>をボトム・ゲート形Ge-TFT構造で調べた。しかし、とくにμc-Ge : H TFTにゲート絶縁漏れが多く、この原因は、電子・イオンのSiO_2膜へのチャージアップによるのではなく、SiO_2膜のマイクロ波被爆にる絶縁破壊であることが分かり、成膜表面をマイクロ波から遮蔽することで解決した。ECRプラズマのGe-SiO_2界面への影響をGeエッチングで調べたところ、a-Ge:H膜を堆積した界面の粗さは成膜前とほとんど変らないが、μc-Ge:H成膜により界面が著しく荒らされることが判明した。また、a-Ge:H TFTのημτとμ_<FE>には相関があったが、μc-Ge:H TFTにはなく、表面粗さとμ_<FE>に相関があり、μc-Ge:H TFTのμ_<FE>は表面粗さによって支配されていることが分かった。a-Ge:H TFTのμ_<FE>を上げる成膜条件は、電子温度とイオン照射量が重要な関連性があることが分かった。しかし、μ_Hはa-Ge:Hで0.3cm^2/Vs、μc-Ge:Hで2cm^2/Vs以上得られるにもかかわらず、μ_<FE>はその1/100〜1/10と小さく、原因究明は今後の課題となった。また、a-Ge:Hには純粋a-Si:Hと同じ光劣化効果と、それと逆の現象を示す2種の膜があり、両者とも常温近くの温度でアニールできることも分かった。膜質の違いは前者の方がやや光電感度が高く、かつギャップ内局在準位密度が少ないこと以外は不明であり、2種の膜の成膜法も含めて今後の課題となった。
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