研究概要 |
フラクソンニューロのための可変シナプスの回路として量子干渉デバイスの臨界電流を変化させ、結合部に流れ込む電流を制御するタイプの集積回路を製作し、測定を通してその実用性を確認した。 このシナプスの神経回路要素としての特性を評価するため、新たに開発した1接合と2接合を組合せた結合量子干渉デバイスのニューロン素子と組合せて、最適値問題の最もシンプルな形の1つである3ビット・アナログ・ディジタル変換器を設計し、集積回路用マスクを製作した。そのマスクをもとにニオブ系の接合技術により集積回路のチップを製作した。その測定により、ほぼ完全な回路動作を確認したためApplied Physics Letters,IEEE Trans.に発表、また各種国際会議においてもその報告を行った。 この3ビット・アナログ・ディジタル変換器は測定は100KHzで行ったが、100MHz以上の高周波入力に対応できることが数値解析により確認された。集積化したシナプスはデジタル的にその値を変化できその変化範囲は2ビット相当である。その他に4ビット相当の可変シナプスを設計しその動作を数値解析により確認した。 さらにシナプス部に記憶機能を持たせるデバイスの可能性を探り、ニューロン素子と固定シナプスとの組合せによるフリップ・フロップ回路の構成を設計し、その動作をシミュレーションにより確認した。 この結果は電子情報通信学会誌に投稿し携載が決定した。これにより超伝導神経回路網の回路要素、特に集積化された可変シナプス素子の構成法が確立されたため、本研究課題の目的が達せられた。
|