研究概要 |
まず,基本的な実験として,ER流体インキの流れを制御するための電界について実験的な検討をおこなった.これにより,インキの流れの制御には交流電界を用いるのが適切であることが明らかになった.これにより,インキの噴出を電界により制御することが可能であることを実験的に確かめることができた. 次に,プリントヘッド内のインキの流れを,等価粘性長と等価慣性長の概念を用いて,矩形断面を持つ流体の流れに帰着させ,これから運動方程式を導いた.さらに,ER流体の電界に対する応答速度を実験的に測定して,この応答速度を上記の運動方程式に適用してプリントヘッド内のインキ流れの理論的解析を行ない,ノズルでのインキ速度の理論値が求められた.また,プリントヘッドを試作し,ノズルから噴出したインキの状態を高速度写真機で撮影することに成功した.この写真から得られた,ノズルから噴出したインキの体積と,理論計算から求めた体積は良い一致をしており,理論モデルの正しさが検証できた. 理論モデルの検証ができたので,次にインキに印加する電界のオフ時間をパラメータとして噴出したインキの体積を計算した.この結果,噴出するインキの体積は電界のオフ時間に比例することが明かになり,これより,濃度変調の可能性が予見されることとなった. 一方,ER流体の電界に対する応答速度が思うよう高くならず,印字速度が100ドット/秒とあまり高くできないという問題点が明らかになり,印字速度の高速化がこれからの研究の重要なポイントであることがわかった.
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