GaAsp^+基板上にn型層を成長後、基板裏面にオーミック電極をAu-Znを用いて形成し、n層上に約6nmのシリコン窒化膜を形成、さらにアルミニウムのドット状電極を付けた構造により負性抵抗スイッチング素子の試作を行ない、オフ状態とオン状態とをもつ特性を実現した。試作した素子は、スイッチング電圧15〜25V、電流0.5〜2mA、オン電圧約6Vであり、オンとオフの電圧差が大きくとれるものの、オン電圧がまだ高く、オフ時の電流の低減も必要である。スイッチング電圧は、n形成長層が厚くなるに従って増す傾向にあり、本試作素子のスイッチング電圧は、表面の空乏層の拡がりとn層の膜厚によってほぼ決定されていることがわかった。これは、試作した素子のスイッチングが、表面空乏層がp^+層に達する電圧で決まる、いわゆるパンチスルーモードで行われていることを示している。 電流-電圧測定と発光強度測定を同時に行なうことにより、負性抵抗領域においては、他の領域と異なり、電流の増加に対して発光強度が増倍的に増加する現象が観測され、この点に関し、発光スペクトルの詳細な測定を直流駆動およびパルス駆動によって行い、発光ピーク強度及び発光ピーク波長の電流依存性においても負性抵抗領域で特異な振る舞いを観測した。これは、中性n領域における電子密度の負性抵抗領域における急激な増加と、表面空乏層で加速されたキャリアの急増に起因していると考えた。 試作した素子は、光照射によってスイッチング電圧が下がる特性を有している.従って、光信号によって素子をスイッチオンする光トリガスイッチング動作が可能である.素子をパルス電圧駆動しパルス状に光照射を行なうと、光照射の無い時はオフのままで、光が照射されたときだけオン切り換わって電流が増加し、素子が発光するという基本動作を実現した.
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