研究概要 |
SiMOSFETの微細化においては、短チャンネル効果を避けるため、ゲート長のみならずソース、ドレイン層の接合深さの寸法も縮小されなければならない。レーザド-ピング技術は、高濃度かつ浅い接合を形成する可能性を有しており、MOSFET作製への応用が期待される。本研究では、紫外エキシマレーザを用いた2ステップレーザド-ピング法を提案し、その技術を確立するとともに、MOSFET作製への応用を試みた。2ステップレーザド-ピング技術は、レーザCVD法によるドーパント膜形成およびレーザ溶融によるドーパント原子の導入の2つの連続したプロセスからなる。ジボラン(B_2H_6)をチャンバーへ充填し、Siを溶融させるレーザエネルギー密度の1/10以下の強度でSi基板を照射し、表面にボロン(B)膜を堆積させた。続いて、0.7J/cm^2でレーザ光を照射し、Siを溶融させてBをドープさせた。この技術により高濃度かつ浅いpn接合を形成することができた。さらに、MOSFET作製へ応用し、ソース・ドレインの形成に有効であることが確認できた。MOSFET作製に用いた基板は、サフャイア基板上シリコン(SOS)である。作製工程は、A1ゲートセルフアライン(自己整合)プロセスで行なった。ただし、レーザド-ピングは温室プロセスであり、この利点を生かすため、ゲート絶縁膜は通常の熱酸化膜ではなく、450Cでの減圧CVD法により形成した。デバイスの構造として、ゲート絶縁膜2000A、ゲート長10、20、40μm,ゲート幅20μmの3種類のpチャネルMOSFETを作製した。オン/オフ比が7、実効電界移動度が145cm^2/Vsの良好な電気的特性が得られた。さらに、ゲート長の減少に伴い、飽和電流は増大し、特性の改善が確認された。以上、レーザド-ピング技術はMOSFETのソース、ドレイン層の形成に有効であることが確かめられた。
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