研究概要 |
光集積回路或は光インタネット等に用いられる光導波路は,(1)必要なシャープな曲げ,分岐といった光導波路が実現できること,(2)偏波面を積極的に利用したデバイスである事,(3)光電磁波回路として波長程度の回路寸法で動作する光微細回路を実現する事等が要求されている。上記の事を踏まえ,本研究は,各層が波長に比べて充分に薄く,屈折率の異なる2つの超薄膜を交互に積層した多層超薄膜構造による光電磁波を高さ方向に強く閉じ込めた構造を持つ機能性3次元導波路形光平面回路素子の開発を目的としている。今年度は,上記に述べた多層超薄膜構造による機能性3次元導波路形受動素子を理論及び実際の両面より具体的に検討した。 A.光平面回路理論による解析と設計 今年度はTEとTMモード変換を考慮した3次元的ベクトル場による光平面回路方程式に基づいて,固有モード展開法により, (1)多層超薄膜3次元導波路の伝搬特性と非対称リブ形3次元平行結合導波路の伝搬定数及び電磁界分布(1995年電子情報通信学会春季大会C-207,OPE94-125)。 (2)3次元光導波路横方向ステップ不連続問題を解析し,反射電力,透過電力,放射電力等を評価した。その結果,横幅の不連続が大きい場合でも反射電力は無視できる事を明かにした(1995年電子情報通信学会春季大会C-206)。 B.3次元導波路形曲り導波路の作製・測定法の確立 本研究では,構成屈折率,層数,膜厚比,基板及びクラッドの屈折率を変化させる事で,その構造複屈折性を大きく制御する事ができ,理論と実際との対応が重要となる。電子ビーム及び高周波スパッタ装置を用いて多層超薄膜リブ形3次元導波路(PMMA/SiO_2/TiO_2/……SiO_2/TiO_2/Si)をある程度作製する技術を確立した。更に多層構造基板上にPMMA装荷リブ形3次元導波路を電子ビーム露光装置を用いて折れ曲がり導波路,円形曲り導波路を作製し,最大曲り角度を推定した(1994年電子情報通信学会秋季大会C-226,1995年電子情報通信学会春季大会C-360)。
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