約1mの長さの単一モードファイバ(コア径8.3μm、NAO.13、カットオフ波長1.409μm)2本を顕微鏡下で密着して並列していることを確かめた後、50WクラスCO_2レーザ(当研究室組立)とZnSeレンズを組み合せて赤外レーザ光(λ=10.6μm)を集光して熱融着する。その融着ファイバをモータドライブ移動ステージに取り付け、酸素とブタンの混合ガスを用いて2000℃以上の高温で燃焼するマイクロバーナで加熱しながら延伸して光ファイバカップラーを作製した。分岐比が50%、挿入損失3dB以下の特性のものが得られたが、偏波特性を調べると特定の方向の偏波成分を選択的に分岐・結合することがわかった。これは熱融着延伸部分が楕円形状に変形したり、非軸対称な屈折率分布を有するために偏波保持光ファイバと同じような偏波特性になるためと考えられる。 次に、0.63μm帯高NAGeO_2ドープ偏波保持光ファイバ(ビート長1.45mm)にポンプ光としてNd:YAGレーザ(波長1.064μm、最大尖頭出力15kW、パルス幅80ns、繰返し周波数1kHz)、プローブ光にHe-Neレーザ(波長0.633μm)を入射して、3次の非線形に基づく光カー効果によって誘起される非線形屈折率を見積もった。ファイバ長106.7mのときリタデーションとして最大220゚が得られ、非線形屈折率n_<2B>=1.24×10^<-13>[esu]が見積もられた。この光カー効果を用いた光信号処理として、ポンプ光によるプローブ光の光スィッチングを観測した。しかし、高NAGeO_2ドープファイバを用いて融着・延伸によるカップラーの作製及びこの光ファイバカップラーの非線形光学効果を利用した光スィッチングなどの光信号処理機能を確認するには至らなかった。これらの研究が今後に残された課題である。
|