研究概要 |
本年度の成果: 1.分母分離形2次元ディジタルフィルタの周波数領域における最適設計問題を単純遺伝的アルゴリズムによって定式化した.最適化問題のコーディングにおいて,分母分離形伝達関数の分母の極の半径と偏角,および分子の係数をそれぞれ30ビットの遺伝子として表現し,これらを一つなぎにして染色体を構成した. 2.上述の表現のもとで単純遺伝的アルゴリズムによって2乗誤差評価関数の最適化を行い,フィルタ設計が可能であることを確認し,またこの方法は従来法より近似誤差が小さいことを明らかにした.例えば,低域通過特性を近似するために,(4,4)次の伝達関数を用いる場合,遺伝的アルゴリズムの世代更新数は479回であり,計算時間は6.79時間(100MIPSの計算機による),2乗平均誤差は9.64%であった.この方法の計算時間は従来法より極めて長いが,誤差は従来法の約1/2である. 3.以上の設計手法を周波数領域の誤差の絶対値和,最大値,空間領域の誤差の2乗平均などの場合に対して拡張し,実際に2次元フィルタが設計可能であることが確認された. 次年度の課題:提案手法を2次元の分母非分離形に拡張し,最適化の実験を行うとともに,3次元以上のディジタルフィルタに拡張・一般化し,提案手法の性能限界,利点,問題点を明らかにする.
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