研究概要 |
前年度と同様なErドープ光ファイバを用いて、リング共振器形ファイバレーザを構成し、モード特性および雑音特性を測定した。波長多重カップラによりErドープ光ファイバを1.48μm帯半導体レーザで励起した。リング共振器内のErドープ光ファイバには低濃度(高濃度)ドープ量Er:500ppm(9000ppm),光ファイバ長23.0m(1.4m),ループ長30.8m(8.8m),濃度条長積11.5kppm・m(12.7kppm・m)を用いた。次に本研究の目的の1つである光注入同期発振器の可能性を追求した。光注入光源は1.55μm帯DFB形半導体レーザを用いた。さらにリング共振器はファイバフィルタとしても作用するので、そのフィルタ特性および信号光源の影響を調べた。以上の実験結果より次の結論を得た。 (1)本構成のフィアバレーザはループ長で決まる縦モード間隔で発振可能であり、ループ長が長い場合はモードホッピングが頻繁に発生している。ループ長を短くするためにファイバグレーティングを用いたファイバレーザを構成し、単一縦モード発振を確認した。 (2)光注入同期発振器として安定に動作するには極めて狭い外部光スペクトル線幅を必要とする。これには光ファイバを用いた戻り光によるスペクトル狭窄法が有効であることを予備実験で確認した。 信号光のコヒーレンス長よりループ長が長い本研究の光注入形ファイバレーザのリング共振器は励起光レベルによってピーク形からノッチ形まで特性可変の帯域フィルタとしても機能することが分かった。 以上より一部改善すべき点があるが、光注入形ファイバレーザはコヒーレント光通信や光干渉計測への適用が有望であることを本研究結果は示している。
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