研究概要 |
Erドープ光ファイバおよび励起半導体レーザ光源(0.98μmおよび1.48μm帯)を用いて、リング共振器形ファイバレーザを構成し、発振出力、発振波長および発振波長の可変特性を測定した。波長多重カップラによりErドープ光ファイバを励起した。リング共振器内のErドープ光ファイバには低濃度(高濃度)ドープ量Er:500ppm(9000ppm),光ファイバ長23.0m(1.4m),ループ長30.8m(8.8m),濃度条長積11.5kppm・m(12.7kppm・m)を用い、濃度の違いによるレーザ特性の変化を調べた(括弧内は高濃度の場合)。また分岐比可変カプラのにより種々の条件で発振特性を測定し、最適結合条件を求めた。次にファイバレーザの発振スペクトル線幅を遅延部分をループ状にした(ループ長80km)リング形遅延自己ヘテロダイン法により測定した。別の半導体レーザからファイバレーザに光注入する光注入同期発振器の可能性を調べた。さらにリング共振器はファイバフィルタとしても作用するので、その特性を調べた。以上の実験結果より次の結論を得た。 (1)出力取り出しには最適条件があり、励起光強度35mWで、カプラの分岐比56.7%(77.3%)において最大出力2.4mW(2.1mW)を得た。 (2)カプラの分岐比68.0%(88.8%)において最大スロープ効率8.9%(9.1%)を得た。 (3)発振スペクトル線幅は3kHz(5kHz)であった。 (4)光注入同期発振器として安定に動作するには極めて狭い外部光スペクトル線幅を必要とする。 (5)信号光のコヒーレンス長よりループ長が長い本研究の光注入形ファイバレーザのリング共振器は励起光レベルによってピーク形からノッチ形まで特性可変の帯域フィルタとしても機能することが分かった。 以上より一部改善すべき点があるが、光注入形ファイバレーザはコヒーレント光通信や光干渉計測への適用が有望であることを本研究結果は示している。
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