研究課題/領域番号 |
05650356
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
今村 恭己 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (60037950)
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研究分担者 |
上原 聡 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (90213389)
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キーワード | 擬似雑音系列 / complexity評価 / 1記号変更 / 1記号挿入 / 1記号削除 / Linear Complexity / Maximam Order Complexity / 周期系列 |
研究概要 |
スペクトル拡散通信や暗号の分野では、系列のcomplexity(予測し難さ、解読し難さ)の評価法としてはLC(Linear Complexity)が良く用いられている。本研究では、先ずLCの弱点を示す典型的な例として次の事項を明らかにした。 ・GF(q)上の多くの周期系列のLCは、最小変更(1記号置換、1記号挿入、または1記号削除)により極端に増加する。 本研究を始めた時点では、このことはm-系列について1記号置換(1周期中の1箇所の記号の値の変更)の場合のみが著者等により明らかになっていた。本研究を進める中で、その他の最小変更、即ち、1記号挿入(周期が1だけ増える)と1記号削除(周期が1だけ減る)についても同様の現象が起きることを明らかにした。1記号変更に対するLCの変化については一般的に解明出来た(未発表、昨年11月に訪中した時の中国科学院の載教授との共同研究)。 本研究の動機は、系列のcomplexityの評価法としては上記のどの最小変更に対しても評価値の変化が少ないものが望ましいという考えに立っている。LCはその点からは良い評価法とは言えない。他の評価法を用いるとどの程度改善されるかを比較するために、本研究ではLCのフィードバック関数を非線形関数に拡張して得られるMOC(Maximum Order Complexity)について調べた。その結果・m-系列の最小変更のMOCは、m-系列のMOC(=LC)の2倍または3倍以下であること(m-系列についてはLCよりもMOCの方がはるかに優れていること)を示すことが出来た。 今後は、その他の評価法と多くの系列について系列の最小変更に対する振る舞いを調べその応用上の意義を検討したい。特にStamp(1993)のk-error LCについて検討したい。
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