ホップフィールドネットについてこれまでに指摘されている問題点は、大規模化とともに計算時間が長大化すること、非許容解も出力するのでリアルタイム処理に使えないこと、解の精度が保証されてないこと、等である。本研究ではこれらの問題点の打開策を考案した。まず、計算時間の問題について検討し、その長大化の一つの原因は全O-1整数計画問題としての定式化にあることを明かにし、混合整数計画問題による解法によれば計算時間が短縮されることを実証した。次に、非許容解を出力するのはペナルティ法を用いているからであることを明かにし、有制約組合せ最適化問題の解をラグランジュ関数の鞍点として直接求める方法を提案し、そのアルゴリズムを実行するアナログ電子回路を構成した。最後の問題点、すなわち解の精度の保証がないということへの一つの回答として、ここで開発した新しい組合せ最適化のアルゴリズムについて、NP困難な問題である最大カット問題に対する解の最悪誤差を理論的に評価した。その結果、本解法は従来の近似解法と性能が同等なことが保証された。また、ホップフィールドネットの性能を上げる一手法であるアニーリング法について、電子回路で実行しやすい新しい方法を提案し、いくつかのNP困難な問題について実際に性能が上がることを確認した。以上の研究を通して、ニューラルアルゴリズムは、目的関数の離散変数に関する次数が小さいほど性能もよく、スピードも速いことが判明し、できる限り混合計画問題として定式化するのがよいことが分かった。そこで割当問題や配置問題等の組合せ最適化問題以外にもクラスタリングや位相保存写像および画像復元といった例について混合整数計画問題としての定式化を行い、従来の方法よりも高速な解法を開発した。
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