コンピュータ機能と通信機能が統合化された情報機器(情報エンジン)が多数結合した「情報エンジン網の基礎理論の構築とその情報ネットワーク設計論への応用を目指して情報エンジン基礎論およびそれに基づく性能限界、応答時間特性に関する研究を進めた。本年度の主な研究生化は次の通りである。 1情報ネットワークの応答時間特性 情報源記号の集合XについてエントロピーH、情報活性度T、エンタルピーWを定義すれば情報エンジンEはH、T、Wの変換機関とみなすことが出来る。情報エンジンEの諸特性の内最も重要な応答時間特性には伝達応答時間t_t、処理応答時間t_pおよび動作応答時間t_<op>がある。情報ネットワークを相互に接続した情報ネットワークにおいてこれらの応答時間特性の最小化問題を考察し、伝達応答時間最小網定理、動作応答時間最小網定理を導いた。さらに正規エンジンからなる非冗長な最適情報ネットワークに関する最適情報網定理を導いた。 2情報エンジン基礎論の精密化 熱エンジンの基礎理論である熱物理学では統計的量が主役となる熱と決定的量を対象とするニュートン力学を融合した体系を構築している。情報エンジン論においても統計的量が主役となる情報理論と決定論的計算理論を統合する情報エンジン理論(情報ネットワーク理論)の構築が必要である。これは従来の情報理論に加え計算量理論、Rissanenの最小記述原理、Kolmogorov記述量理論、Bennetの可逆論理処理論を加味するものであり、その端緒となる理論を発表した。
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