研究概要 |
平成5年度は、超音波の送受を行って、試料で反射及び透過した音波の受波信号の振幅測定から試料の音圧反射率あるいは音圧透過率を求め、この結果から試料の音速を求める方法について計算と実験によって検討した。まず、種々の試料と変換器及び中間媒質の組み合わせに対する周波数及び試料厚の変化に対する音圧反射率と音圧透過率の特性を計算によって求め、測定に最適な試料厚や周波数を検討した。試料厚と波長の比h/λのどこまで本測定法で測定可能か検討した結果、水中ではh/λ<0.1〜0.01、空中で0.001程度まで測定可能であることを明らかにした。つぎに、実験システムの構成を行い、数十KHz〜30MHz帯の周波数帯にわたる広帯域の送受波システムを実現した。また、高精度のメカニカルステージの導入によって送受波系と試料表面との高精度のアライメントできるようになった。これらのシステムにより種々の試料に対して音速測定を行なった。試料として、フィルム、薄板状試料(金属,高分子)を用いた。また、この原理を用いて固体媒質に挟まれた薄い液体層の音速測定も行った。この方法では、測定に必要な試料量がO.1cc程度と微量である。また、薄い試料の厚さを、音圧透過率の測定から測定する方法を考案し、実験を行ったところ、数μm〜数十μmのフィルム、金属箔および紙の厚さを測定できた。本年度、構成した測定系は送受波におけるS/Nが高くないため、測定精度が制限されるという問題があることが明らかとなったので、6年度ではこれらの改善を行う予定である。
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