研究概要 |
本研究着手初年度である平成5年度においては,既存の従来制御系構築支援ソフトを購入し,それを搭載する計算機システムを設置した.これらを用いて,以下の3テーマを設定し研究を進めた. (1)最適制御の制御系構築手法であるリカッチ方程式を解いて求めた3つのコントローラを,将来状態を予見しながら制御目的を評価しリアルタイムで選択する知的制御系の構築法を提案し,1次遅れ系の台車制御を対象として計算機シミュレーションにより有効性を評価した. (2)ラフな対象システムモデルに基づき設計したPID制御系を基盤としてファジィ推論により調整していく階層型ファジィ制御方式を提案し,ムダ時間と時定数が大きい無定性プロセス装置を試作して実験評価を進めている. (3)自動車の駐車制御における運転知識を組み込み,定量的な到達目標の評価に基づく知的(ファジィ)制御系の構築を行い,シミュレーションにより評価すると共に,1/10スケールの模型自動車を用いて走行実験による有効性の評価を進めている. これらの研究成果を研究会等で発表(予定)しこの分野の研究者との討論を進めている. 本年度の研究の結果,対象システムの望ましい動きに関する制御技術者の知識(制御に関するメタ知識)を,あいまいさを定量的に扱えるファジィ集合に基づく評価指標として与える事により,数多くのパラメータの設定が必要である知的制御系構築の可能性を確認することが出来た.
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