本研究ではロンバート効果により生じる主としてフォルマントの遷移が認識に及ぼす影響を取り除き、かつ一般の低品質音声の高精度認識を行なうための手法の開発を目的としている。 本研究で得られた主要成果は以下のようである。 1)ロンバート効果によるフォルマントの遷移には一定の傾向がある。それを、考慮して、スペクトルのパターンマッチングを行なうときに周波数領域において一定制限窓内でDPマッチングを行なう手法を開発した。 2)本手法によれば、SN比が0dB前後の低品質音声の場合に約5%の認識率の向上が達せられる。 3)雑音抑圧の手法として、音声波の自己相関関数の原点を取り除き、両側から外挿し、その自己相関関数に線形予測分析を適用する手法を考案した。本手法により従来の手法に比べて、0dB付近で10〜20%の認識率の向上を達成した。 今後1)と3)の手法を組み合わせ、より耐雑音性に優れた手法を追究する必要があろう。
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