研究概要 |
自律分散システムは現状ではまだ整備された理論基盤を持たない分野であり、未だ試行錯誤の状態である.また,機械システムに於けるその実用化を考えると、実験システムを用いてその挙動を検討することは極めて重要なことであると考えられる. そこで本研究では機械システムへの自律分散制御の応用について,実験システムを対象として検討を行ったのでその結果を報告する. 実験システムとして,多関節アームの両端を閉じたような形状をし,地面に垂直に立ってその形を変えながら移動をするようなシステムを考案した.また,この実験システムにおいて自律分散方式で制御をするためにCPU・各種センサ・通信装置を準備してインテリジェント化したアクチュエータ(Intelligent Actuator,以下IA)を用い,それぞれのIAに自律的に動作させる. システムの制御は大きく分けてマクロ・ミクロの2つのレベルで行った. ★マクロ システムの移動を司る部分で,隣接するIAから通信により情報を得て自己のセンサから得られる情報と総合して移動に必要な操作量指令値を発する部分である. 本研究では遺伝アルゴリズムによりこの機能の設計を行った. ★ミクロ IAが自己を破壊/故障から守るために自己の状態のみをに基づいてマクロなレベルからの操作量指令値を抑制する部分である.本研究ではこの自己保守のための制御系を,複雑さを避けるためにあるクラスに限定した上で設計・解析を行った. このシステムについて移動機構実現に加えて自律分散システムの長所である耐故障性・拡縮性をシミュレーションにより確認した。 実験装置は電機式モータにワンチップボードコンピュータ・タッチセンサなどを搭載したIAを8台製作してシミュレーション結果を実証し、本設計の有効性・実現性を検証することができた。
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