10μmから1mm程度の変位振幅と100Hz〜数100kHz程度の周波数を持つ振動体の変位の時間変化を、数%以下の誤差で多点同時計測できる小型で安価なレーザドップラー振動計を開発することを目的としている。初年度の研究目標として以下の(1)〜(3)を行った。 (1)「変位波形の直接ディジタル化回路の動作確認」:半導体レーザの出射光ビームを振動スピーカ表面に照射して得られたドップラービート波形を直接ディジタル化回路に入力して、一波ごとにパルスを発生させる。このパルスの数を速度方向判別回路の出力に従って加算又は減算することによって、振動変位の時間変化を光の波長の1/2を単位として直接ディジタル化できることを確認した。その時の正弦波振動周波数は数kHz、振動振幅は1μm〜数10μmであった。なお、測定開始直前にカウンタ回路をリセットしておけば、振動波形の10周期程度ではカウント誤差はほとんど累積しなかった。 (2)「測定変位波形の精度確認」:ラウドスピーカをf=1.5kHzの正弦波電圧で駆動し、±5μmの変位振幅をディジタル回路で測定した場合、測定値はビート波の最高ビート周波数f_Dを実測して計算した最大変位(λf_D/4πf)と数%の範囲で一致した。この誤差は、半波長0.4μmに相当する。 (3)「振動計の性能確認」:半導体レーザを用いてラウドスピーカを振動体として測定し、100Hz〜数10kHz、数μm〜100μm変位の測定を行った。ファイバ付き半導体レーザを用いた場合には、ビート波形の振幅が10秒程度の間に変化するので、ビート信号の安定化など動作条件を確立する必要がある。なお、変位波形から速度波形更に加速度波形を得て、各波形の周波数スペクトルをFFT処理で計算することができた。
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