本年度は、主として次の2つの研究課題を行った。 1、並列数式処理アルゴリズムの開発とそのSIMD型並列計算機上への実装 ここではまず多変数多項式を要素とする行列の行列式及び逆行列計算のSIMD型並列計算機SM-1向きアルゴリズムの開発を行った。これは各PEがもつPE番号のみを手がかりに同一命令のみで行列式計算を並列に実行可能であるアルゴリズムで、SM-1向きである。ついでn-dシステム制御理論の基本的方程式であるユニラテラル行列方程式の解法の基礎となるグレブナー基底の導出の並列アルゴリズムの構築と実装を行った。これらは並列数式処理系のプロトタイプであり、現在並列系の評価の大きなポイトである処理速度などの検討を手掛けている。 2、n-Dシステムのpractical安定性とその応用 ここでは多次元システムのPractical内部安定性の定義を与え、出力フィードバックによる安定化補償器のクラスを導出するとともに、補償器の設計技法を体系化した。またこの体系は1-Dシステムの学習制御問題、わけても繰り返し制御やMultipass問題を統一的に扱えることを明かにした。この成果を学会誌Multidimensional system and Signal Processingに発表した。今後はn-Dシステムのロバスト安定性や最適制御理論の研究を行うつもりである。
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