研究概要 |
平成5、6年度の2年間を通じて以下の成果をあげることが出来た。 1.超並列数式処理の開発 SIMD型並列計算機SM-1上に稼働する並列LISP,TUPLEを基に、超並列数式処理系を開発した。具体的には2、で述べる多次元システム制御理論への応用を念頭にいれて、多変数多項式を要素とする行列の行列式、逆行列、スミスフォームおよひグレブナ-基底の並列関数を実現できた。並列処理を逐次処理と比較すると、数十倍から百倍程度の処理速度比を実現できた。並列処理系の開発を通じて、並列処理速度は、PE間通信と並列プログラム作法がボトルネックになっていることが判明した。PE間通信に対しては、SM-1向きの並列アルゴリズムの採用、並列計算結果の集約技法などで大幅に改善できることを明らかにした。プログラム作法に対しては、新しい並列プログラム作法を提案するとともに、仮想演算装置という新しい概念を導入し、プロトタイプでその有効性を確認した。この研究は単に並列処理系の開発にとどまらず、記号処理の分野においても並列処理の有効性を示せたと考えている。これらの成果は、学術論文1編、国際会議2編の論文としてまとめることが出来た。 2.n-Dシステム制御理論 5年度は主としてn-DシステムのPractical安定性の理論を中心に研究を行ない、Practical内部安定と出力フィードバックによる安定化補償器の設計理論の構築を行った。またこれは1Dシステムの繰り返し制御の体系化に応用できることも明らかにした。6年度は、5年度の成果をもとにn-Dシステムの最適トラッキング問題の研究を行い、ある種のn-D最適問題は1D最適問題に宿約出来ることを明らかにした。現在1の超並列数式処理系に、ここで得られた結果を組み込んでいるところである。なおこれらの成果を学術論文3編、国際会議3編の論文としてまとめることが出来た。
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