研究概要 |
パラメータに不確かさを含む制御システムのロバスト解析・設計については,近年かなりの成果をみているが,それらは主として線形システムに対するものである。非線形システムに対してはその最も正統的なアプローチはリヤプノフ関数法であり,システムの方程式にパラメトリックな不確かさが含まれる場合にはそれに対応してリヤプノフ関数もパラメトリックに定式化しなければならないであろうというのが我々の見解である。本課題の目標は,これに従って,システムに含まれる(不確かな)パラメータを用いたリヤプノフ関数の構成法を探ることである。申請書で述べた如く,本年度ではその第一歩としてまず線形システムに対する構成法の検討を行った。すなわち,システムの特性方程式がある形式の多項式ポリトープという形で不確かさを含んでいる場合,これに対応するリヤプノフ関数はどのような形をもつのが最も適切かを考察した。その結果,次のような事実が判明した。 1)ポリトープを構成する端点多項式に対するリヤプノフ関数として二次形式をとり,その係数行列として安定判別に用いられるエルミート行列をとればよい。 2)このとき,目的のリヤプノフ関数は,1)の二次形式を端点とする二次形式ポリトープとなっている。 3)従って,端点多項式の安定性は多項式ポリトープの安定性を意味する。 4)このリヤプノフ関数ポリトープを特徴づけるパラメータは,まさにもとの多項式ポリトープを特徴づけるそれと一致している。このような結果の副産物として,いくつかの既存のロバスト安定に関する定理のリヤプノフアプローチからの別証が得られた。
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