研究概要 |
本研究はニューラルネットワークの特長である並列・分散・学習の機能のなかで,学習機能に着目し,ニューラルネットワークを用いた適応制御系の設計とそれらの設計手法をプロセス制御へ応用し,その有効性を実験によって定量的に検証しようとするものである。 本年度は,まずニューラルネットワークの学習能力の定式化を行った。とくに,階層型ニューラルネットワークのニューロン数の変化と学習能力を示す誤差曲線との関係のシミュレーションを行い,ニューラルネットワークが有している学習能力の定量的検討を行った。それらの結果の理論的妥当性を情報理論で用いられているε-エントロピーの概念で定式化し,理論的な考察から,近似精度と学習能力の関係式を導出した。 つぎに,ニューラルネットワークを用いた適応制御系の設計手法について考察した。ここでは,未知の制御対象に対して,その出力を望ましい値にするような制御入力を決定するために,ニューラルネットワークを適用し,学習制御系を設計するとともにその学習制御性能をシミュレーションによって定量的に検討した。つぎに,ニューラルネットワークの中間層におけるニューロン数と学習性能の関係をε-エントロピーを用いて定式化し,予め定められた目標値へ追従性について考察した。さらに,ニューラルネットワークを用いた学習制御の汎化能力を考察するために,未学習の目標値に対する追従性について検討し,定式化による制御性能の能力とシミュレーションによる結果と差異について考察した。したがって,本年度はニューラルネットワークの有している学習能力の定式化とそれに基づいたニューラルネットワークによる学習制御の制御性能の定式化について考察し,その定式化の有効性をシミュレーションによって定量的に検証した。
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