研究概要 |
本研究の目的は,まず,ニューラルネットワークに関してすでに得られている特長を活用しかつ従来の高速情報処理機としてのノイマン型計算機の利点を活かしたニューラルネットによる適応制御を行うニューロコントローラを設計し,シミュレーションによる定量的に検討を行う.さらに,そこで得られた結果に基づいて,実在のプロセス制御系の適応制御をニューラルネットを用いて実現し,その有効性を実験的に検証するということであった.以上の目的に沿って研究を行った結果,本研究には以上の研究結果を得た. (1)ニューロ制御による学習能力の検討 前年度に行ったニューラルネットの学習能力の定量的手法を用いてニューラルネットによる適応制御系へ適応し,予め定められた制御性能を達成するのに必要となる多層型ニューラルネットの層数と各層におけるニューロンの個数を決定する方法を提案した.さらに,多層構造以外のニューラルネットによる適応制御系の学習能力の定式化に成功した。 (2)実在のプロセス制御系への応用 本研究室で有している温度制御装置および倒立振子安定化装置に対して,本研究で提案したニューロコントロールによる具体的な実験を行った。その後,実在の化学プラント工場において熟練オペレータが行っている制御結果と本研究により制御結果を比較検討し,本研究で提案したニューラルネットを用いた適応制御方式の有効性を検証した. (3)ニューロコントローラによる制御性能の定量化 (1),(2)で得られた学習能力の検討および実在のプロセス制御系への応用を通して得られた知見をもとにニューロコントローラによる制御性能の定量化を行い,その汎化能力の定量化に成功した.とくに,与えられたプロセス制御系に適した規模のニューラルネットワークを自己組織化するために遺伝的アルゴリズムおよび遺伝的探索プログラムを適用し,汎化納涼の向上を図る手法を提案し,その汎化能力の定量化を行った。
|