本年度の研究計画に掲げた課題は (1)センサあるいはアクチュエータの故障によってフィードバックループが切断した場合にも安定性、制御性を保持する制御則の構成法、 (2)フィードバック信号がゆらいだり、あるいは雑音が加わる等、不規則な現象を生じる場合の解析と、それに対処する制御則の設計法、 (3)集中定数システムに対する上記の問題のむだ時間システムへの一般化 であった。これらの課題について研究を進めた結果、次のような成果が得られた。 (1)上記課題(1)に関しては、先にわれわれのグループが開発したインテグリティーを有する制御システムの構成理論を拡張して、任意の制御性を有するシステムの構成が可能であることの見通しが得られた。 (2)上記課題(2)に関しては、ロバスト性の問題として定式化することによって扱う方針を立て、ほぼその方向で結果が得られることが判明している。 (3)上記課題(3)に関しては、ロバスト性の議論をむだ時間システムへ拡張することはほぼ解決し、具体的に理論構成を進めている。ループ切断の問題の一般化はなお問題が複雑で、さらに検討を必要としている。 この他、今年度は、この研究を進めるに際して必須なコンピュータ支援システム(CADシステム)の整備を進め、ほぼ完成することができ、来年度の研究遂行に大きな力となるものと思われる。
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