研究概要 |
この研究では,将来の土木材料に用いられる可能性のある複合材料のうち,層状の微視構造を有する材料特性を,構造力学的観点から見直し,その圧縮強度の推定を行なう.一般に軽量化・高強度化のために,種々の複合材料が考えられているが,積層板や繊維材などはその層構造が原因と考えられる弱点も含んでいる.ここでは繊維材料を例としてとらえ,その層構造による材料異方性が強度にどのように影響するかを,構造力学モデルで構成則を構築し,検討した.強度に最も影響を及ぼす因子が,層構造に起因する異方性であることが説明でき,圧縮破壊の際に現われるキンク帯の定性的予測も可能となった. このような構造材料と共に,地盤や岩盤なども土木材料の主要材料である.このような材料の場合には単純な層構造としてモデル化できる場合もあるだろうが,最も影響を及ぼしていると考えられる要因に,土粒子や離散的マス分布の存在が挙げられる.つまり,微視的なマイクロクラックが分散するような岩盤では,非常に大きな土粒子が隙間無く埋め尽くした地盤材料として考えることもできるだろう.このような材料の終局挙動も,上の繊維材料と同様,変形が空間的に局所化することによって破壊メカニズムが発達し,最終状態に至るという履歴が観察されている.そこで,離散的な影響を,いわゆる非局所理論と呼ばれる構成モデルで表し,そのもとでの終局挙動を算定し,変形の局所化と離散的な要因との関係を検討した.結局,非局所理論に基づくことにより,不安定になる場合に粒子性が非常に大きく影響を及ぼし,ある限られた数の粒子だけが不安定になる解が存在することを示すことができた.
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