本研究の目的は、中小橋を対象に開発されたヘキサロック型式(格子パネルを用いた型式)の埋設ジョイントを伸縮桁長の長い大型の橋梁に適用するための基本的な知見を得ること、およびそれに基づいた合理的な設計手法を構築するための基礎的事項を検討することであった。そのために、現場測定、室内試験および理論的考察を行ってヘキサロック型式埋設ジョイントの基本的特性を把握し、また埋設ジョイントを構成する個々の材料に対して材料試験を実施してこれらの特性についても明らかにした。本研究の成果をまとめると以下のとおりである。 1.桁の伸縮は、一日の短い周期と一年の長い周期を重ね合わせたような変動を呈しており、桁長が長くなるほどそれらの振幅(伸縮変位)は大きくなる。 2.ヘキサロック型式の埋設ジョイントではジョイント部に集中する桁の伸縮変位を埋設ジョイントの舗装体に広く分散させること(ひずみ分散機能と称する)が最も重要となる。本型式では舗装体に埋め込んだ格子パネルと舗装体と床版を分離するスライド用シートが有機的に結びついてこの機能に寄与している。 3.スライド用シート間にはひずみ分散を阻害する摩擦が存在しており、スライド区間長が長くなる大型橋ほどその影響は大きくなる。設計においては、このことを十分考慮してスライド区間長を決定しなければならない。これについては大略的な算定式を導出した。 4.格子パネルには舗装体のスティフネスを向上させ感温性を改善する効果があり、大型橋に適用する場合にはこの効果を有効に活用する必要がある。現行の格子パネルの形状、寸法、板厚および混合物を見直すことによって、より性能の高い埋設ジョイントに改善することができる。
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