自動車荷重の増大に伴い橋梁床版の損傷が問題となり、その補修方法の開発が強く要請されている。損傷を生じた橋梁床版の効果的な補修方法として考案された薄層のプレキャストパネルをエポキシ樹脂により重層接着する方法について、鉄筋コンクリートはりおよびスラブにスレート板をエポキシ樹脂で接着したモデルにより実験的な検討を行ない、次のような結果を得た。 (1)本工法は2層のパネルの樹脂接着によってスラブの疲労損傷に対して効果的な防水層を持つ画期的な床版補修の方法であり、大きな疲労損傷を受けたはりにおいても、本工法は十分な補強効果を示した。 (2)静的載荷の下での耐力ならびに変形能はパネル接着によって格段に増大する。これは、接着したパネルの強度のみならず変形能が大きいことに起因する。特に補修はりと同厚のコンクリートはりに比べて変形能の増大が著しい。 (3)実施工における接着程度の低下の可能性を考慮して部分接着を行った結果、接着度50%迄は問題がないと考えられたが、接着度が25%となると接着の切れている方向によっては悪影響がみられた。 (4)夏期を考慮した高温下での接着層の強度低下はエポキシ樹脂単体よりはるかに小さいが、60℃以上の高温となれば強度低下が生じうる。 (5)接着層の含水比がはりの変形特性に及ぼす影響が非常に大であり、湿潤面接着では含水比がある程度高くなると接着層の剥離が生じ、変形能が大きく低下する。 (6)スラブ供試体の部分集中荷重による載荷試験によっても、はりと同様にD-RAP工法による剛性ならびに耐力(スラブでは押し抜きせん断)上の補強効果が優れていることが認められた。
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