今年度はコンクリートのひびわれ制御効果に影響する炭素繊維ネットの定着機構を把握することを目的として、主にネット横線の機械的抵抗による引張分担力の変化を調べるとともに、弾性バネモデルによる解析理論の検証を行った。 実験では、縦線間隔と横線間隔を種々変化させたネット(格子状)補強材をコンクリート中に埋設して、引張重荷下における格子交点両側の縦線ひずみの変化を調べた。その際、炭素繊維ネットにおいては成形加工の制約上、交点近傍での理想的な状態が得にくい為、丸鋼を格子状に溶接成形したモデル補強材についても同様の測定を行った。また、補強材に引張力を与える方法としては、純引張試験よりも偏心の影響を除去しやすいはりの曲げ載荷による方法を用いた。 その結果、ネット横線抵抗により引張ひずみが階段状に変化することを確認でき、その性状はネットの横線間隔による違いは少なく、ネットの縦線間隔すなわち横線のスパンによって異なり、そのスパンが短いほど大きな定着効果が得られることが明らかになった。また、丸鋼モデルの測定結果と比較することにより弾性バネモデルを用いた解析理論の妥当性を確認できた。これらの成果については、平成5年度土木学会西部支部研究発表会(平成6年3月)ならびに土木学会第49回年次学術講演会(同9月)にて講演発表する予定である。
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