本研究の目的は、わが国で汎用化が進んでいる、線形弾性論に基づく安定処理路床の層厚設計法と構造評価法の有用性を検証することである。このために、安定処理路床を含む新設2ヶ所のアスファルト舗装を選定し、FWDたわみ測定、舗装開削及びボーリング試料(表層以外)を用いた繰返し三軸試験、試験結果に応じた非線形解析(反復有限要素解析)を実施した。なお、既設3舗装に関する既存データも目的の検証に加えた。 得られた成果を列記すると次のとおりである。 1.FWD測定データによれば、舗装全体としての評価はいずれも良好であった;安定処理効果と層厚設計法が妥当であることを示唆。 2.FWD測定データと多層弾性論に基づく構造評価法によれば、設計層厚と実測層厚によって異なるが、安定処理路床は過小に評価された(未処理路床と同等以下になる場合も多々認められた);安定処理効果、層厚設計法、構造設計法のいずれかに疑問があることを示唆。 3.構造評価結果と繰返し三軸試験結果との比較によれば、前者による解析値は、一般的に、路盤及び未処理路床においては後者の実験値を大きく上回り、安定処理路床においては実験値を大きく下回ることが認められた;構造評価法に疑問があることを示唆。 4.FWD測定データと非線形解析結果との比較によれば、不確定要因である未処理路床の評価を補正すれば、後者は前者に良く追従することが認められた;3.の疑問点を再確認。 以上、線形弾性論に基づく構造評価法には、舗装構造によっては、その適用性に疑問が残ることが判明した。
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