不撹乱状態の自然堆積粘土を実験室内で市販の材料を使って容易に作り出すことを最終目的として、本年度は、(1)人工混合粘土の物理的性質とその配合条件、(2)人工混合粘土の圧密特性とその配合条件の関係について研究を行った。 (1)の研究では、様々な土をむやみに混合しても、希望する物理的性質を持つ粘土を作る配合条件を見つけ出すことは困難である。そこで、平成5年度はカオリンとベントナイトだけから混合土を作り、その物理的性質を調べるとともに、ζ電位試験と沈降試験なども追加して実施した。その結果、カオリンの含有量の多い粘土の物理的性質は塩分イオン濃度の影響をあまり受けないが、ベントナイトの含有量の多い粘土の液性限界は塩分イオン濃度の増加とともに大幅に低下することが明かとなり、任意な物理的性質を持つ粘土を作り出すために塩分イオン濃度を適切に調整すべきことが明らかになった。 (2)の研究では、当初、様々な配合条件で混合した粘土に対して高温再圧密方法の適用性を検討する予定であったが、平成5年度はまず再圧密する際の温度の影響を明かにするために、1種類の沖積粘土を用いて再圧密温度を変えた試験を実施した。また、再圧密方法の簡便性の点から再圧密時の最終段階における二次圧密期間だけを高温にする「高温養生方法」を追加して、その適用性を検討した。その結果、高温で再圧密する場合ほど圧密速度が速く、間隙比の大きな試料が作成できることが明かになるとともに、高温で作成した場合ほど圧密降状応力も大きくなり、自然粘土など年代効果を有する粘土で見される圧密降伏応力付近での飛び出し現象が見られた。
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