本研究は大きなひずみまで試験できる特別な装置を開発し、相対密度が0〜-20%といった超ゆる詰め砂の大ひずみ時における力学的特性を調べようとするものである。今年度の研究成果をまとめると以下の如くである。 (1)せん断ひずみで100%といった大ひずみまで再現できる繰返し単純せん断試験装置を製作した。この装置は多層リングを用いた単純せん断型であり、そのリングにガイドを設けてせん断ひずみが均一になるように工夫されている。また、ゴムスリーブを用いる代わりに多層リング間にシリコンオイルを注入することによって非排水状態が保たれる。現在、この装置を用いて超ゆる詰め砂のせん断試験を行っている。 (2)砂丘の後背地で堆積している砂層の密度を調べるために、日本海中部地震で被害を受けた秋田県能代市および津軽半島の砂丘地域においてスウェーデン式サウンディング試験を実施した。その結果、表層0.5mまでは相対密度30%以下のゆるい砂層が確認された。しかしながら、深さ数mの地点では相対密度が100%を超えるところもあり、この試験結果から求められたN値を用いて相対密度を推定する方法にはまだ問題点が残されていることも認められた。 (3)相対密度0〜-20%といった超ゆる詰めの供試体を作成する方法を確立するために、氷や入浴剤を用いる方法およびゆるく詰められた不飽和砂を凍結する方法を比較検討した。その結果、不飽和砂を凍結する方法では、含水比を4%にすると供試体の作成時にその体積収縮が小さく、供試体の側壁面の形状にも凹凸が少ないことから、これが最も適した方法であることが明らかになった。
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