研究概要 |
感潮河川の塩分を自然のトレーサーと考え,河川近傍の塩水化状況を把握することにより,河川・湖沼から帯水層へのかん養量を推定する手法を検討した。まず,研究初年度として塩水化状況を把握する手法および塩水化による塩分の土壌に対する吸着現象に関し現場計測および室内実験を中心に行った。得られた結果を以下にまとめる。 【.encircled1.】河川水および河川近傍のボーリング孔内の塩分濃度の深度方向の変化を長期間自動観察した。その結果,夫河川水位の変動によって孔内水位も変動するが変動幅は小さい。しかし河川水位が潮位の影響で上昇すれば塩水化が進行し,低下すれば塩水が淡水に置き返られ塩水化が後退する。この遷移領域は地下水面下約10m程度であることが明らかになった。 【.encircled2.】次に,広域的な塩水化状況を把握する手法として,比抵抗法の適用性について室内実験により考察した。その結果,塩分濃度が500ppm程度の塩水化の測定は比抵抗法により判定できることが明らかになった。 【.encircled3.】また,河川水から地下水へかん養する場合,河川底の土壌および底泥を通過するため,塩分の土粒子への吸着反応が発生する。この吸着反応を無視すると,かん養量の過小評価につながる。そこで,土壌および底泥の土粒子に対する塩分の吸着量を室内実験により明らかにした。その結果,塩水化の進行と後退に伴う吸着等温線にヒステリシスが存在することが発見できた。
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