河口域・沿岸海域を対象としたエスチュリー・エンジニアリングの特徴は次の三点である。(1)熱収支や河川流入による密度流現象の3次元的な取扱い、(2)複雑な地形形状の表現と乱流現象の適切なモデリングと精度の向上、(3)現象の可視化と対話型コンピューター支援システムの開発である。 本研究では大阪湾のベイエリア開発に開連して流動、水質環境の保全と適正な環境管理の可能性を求めて、エスチュリー・エンジニアリングのあり方を検討した。その研究成果は以下のようである。 1.大阪湾の潮流系・密度流系を起因とする残差流系の生成機構を3次元数値実験により解明した。 2.数値実験結果の流動変動を調和分解することにより、倍周波数成分や残差流を定量的に把握するとともに、残差流系に及ぼす密度流効果を検討した。 3.流動をベクトル表示にした静止画像で眺めるのと、連続的に変化する画像で追跡するのでは現象の捉え方が明らかに異なる。QuickBAISICの画像処理のソフトを用いて誰にでも操作できるプログラムの開発を行った。色付けした密度分布の表現や流速のベクトル表示に努め、必要に応じて画像を拡大した。さらに縮小できる機能をもたせたソフトの開発を行った。
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