研究概要 |
粗礫による河床保護工の機能を調べるために当初予定していた粗礫下の細砂の吸出し実験中,細砂上の礫の移動特性をまず明らかにする必要があることがわかり,二粒径混合砂礫床上の礫の移動限界および流砂量特性を実験的に検討した。その結果,1)礫の流れへの突出効果は礫の流砂量を増すが,粒径別流砂量に及ぼすこれらの効果は砂にかかる掃流力を補正することによって評価できる,2)礫の河床における安息角の減少効果は礫の流砂量を増すが,このことは礫の混合割合がある程度より小さい場合にのみ生じ,流砂量に及ぼすこの減摩効果は限界掃流力の補正を礫と砂の粒径比および混合比の関数で行うことによって評価できる,などが明らかとなった。 つぎに,種々層厚を変えた礫護床下の細砂吸出しに関する実験では,段落ち直下流部を対象にして,礫護床上の流速および河床砂の粒径を変化させ,砂の吸出しによる河床高の変化と護床上の流速を測定することによって次のような知見を得た。すなわち,1)河床砂径をd,護床礫径をDとしその空隙率をλ_AとするとD/d<1.5λ_A^<-1/3>であれば,砂は礫の空隙を抜け出せない,2)礫層の厚さをLとすると,礫層上層と下層での掃流力の比βはβ=exp(-0.7L/D)である,3)護床礫層を通しての砂の無次元吸出し率p_s(〕 SY.sqroot. 〔)d/gと礫層上の無次元掃流力u*^2/sgd(〓τ_*)との実験的関係が明らかとなった,4)砂の吸出しのない礫護床の必要厚さL_mはL_m/D=1.43ln(τ_*/τ_<*c>)で表される。ここにてτ_<*c>は砂の無次元限界掃流力である。
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