研究概要 |
負の浮力をもって斜面上に表層放出される密度噴流の問題は周知のように環境水理学上の重要なテーマである。本研究は従来提案されている潜り点の水理条件や密度界面形状などの流れの諸量に関する結論が相違していることに着目し,その原因を流れのメカニズムの詳細な観察によって明らかにした上で新しい潜り点近傍の諸条件に関する知見を導くことを目的としている。 本研究においては潜り点近傍の流動形態が放出密度フルード数:F_<d0>と斜面勺配:Sによって密度楔もしくは密度カレントの極めて大きく異なるいずれかの形態をとりうるという著者等に独自の概念に立って研究を進めた。以下に本研究の成果の主要な点を箇条書きにして示す。 (1)潜り点における密度フルード数:F_<dp>はSおよびF_<dp>に応じて極めて大きく変化する。また,SがS=1/15程度を境にして挙動は大きく異なりS〓1/15ではF_<d0>が大きくなるほどF_<d0>の値は小さくなるが,S<1/15ではその定性的傾向が逆になる。 (2)多くの実験結果よりF_<d0>-S平面上でのF_<dp>の値を三次元的にあらわした推定図表を提案した。その結果より過去に提案されてきたF_<dp>の推定式が相互に異なるのはそれぞれの研究者の実験装置・実験条件の範囲で提案されてきた為であることを明らかにした。 (3)流動形態分類を実施し,F_<d0>-S平面上での出現位置を明らかにした。また,本研究によって提案する各種流動形態が現地データにも認められることを明らかにした。 ** 本研究は著者等に独自の概念を基礎として本年度より実施されるものである。理論的検討のみならず実験的検討もまだ不十分である。研究期間を3年とし来年度も研究を継続する。なお,本年度の実験結果および知見については現在,論文投稿準備中である。
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