この研究は、一般の人々を対象に広く調査を行い、構造物から受ける感覚的な印象(特に直感または視覚的な印象によって構造物内部の力学をどのように認識しているか)の一般的な傾向を探り、それらを分析することによって、景観論における構造物の力学的感覚の意味を明らかにするものである。 平成5年度の研究では、これまでの橋梁構造に関する構造感覚の研究を進めて、広く数多くの一般の人を対象に、9種類のアンケート調査(具体的な桁橋、アーチ橋、斜張橋、吊橋に対して力学的な印象が強い部分・部材を聞く調査から好まり、安心感を感じる橋のライズの調査、支えるというイメージの強い支持形態に関する調査、さらに部材の細長さによる引張・圧縮のイメージ調査など)を引き続き行い、それらをこれまでに得られていた結果と比較した。 それにより、これまでの予備調査で得られていた「構造物に対する人の感覚には予想以上に共通点が認められる」という結果を再確認および一般化できた。 さらにその結果より、人が構造物から受け取るイメージに関して共通な項目を見い出すことができた。 今年度内はそれらの統計学的な整理を進めるとともに、今後の研究の展開としては、その整理結果を受けて、次の段階で行う予定の調査事項と調査内容についての検討に入る計画である。
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