平成5年度は、茨城県のK市下水処理場から排出されるベルトプレス脱水ケーキおよび同処理場内に設置されたパイロットスケールのコンポストプラントで処理された一次発酵済みコンポストを用いて研究を行った。 第一の実験は、靜置式コンポストプラントの可能積み付け高さを検討するため、高さ約2mの発酵塔を用いて実験を行った。原料は同処理場の一次発酵を終了した下水汚泥コンポストを用い、コンポストの発酵に伴う塔内の酸素消費と、塔外部からの拡散による酸素の補給とから塔内の酸素濃度がいかに変動するかを検討した。これにより、従来あまり検討が行われていなかったコンポストパイル中の酸素の移動速度等を明らかにする手法を確立した。今後は、さらに検討を加えることにより、靜置式コンポストプラントの通気方式、積み付け高さの設計に生かせると考えられる。 第二の実験では、小型発酵槽を用いた返送率と通気速度とが発酵速度に与える影響とを研究した。この実験は、返送率を下げることによりコンポストプラントの規模を小さくすると同時に、最小通気量を把握することによりブロアの適正容量を決めることにある。実験の結果、コンポスト化の前処理として天日乾燥を施した場合には、無返送でもコンポスト化が可能なことが明らかになった。また、コンポスト原料の粒径を比較的細かくすれば、少ない通気量でも効率的な発酵が起こることが明らかになった。 これらの第一、第二の実験を通じて簡易な発酵方式である靜置式コンポストプラントの設計条件が明らかになりつつある。今後は、さらにデータを蓄積し、原料の性状に応じたプラントの最適堆積高さ、最適通気量、最適返送比等を実験的に研究し、プラントの設計条件を確定したい。
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