清掃工場からの有害成分の排出という問題に対して、本研究では構造的類似性の高い芳香族ハロゲン化合物の総量としての把握と有害成分の低減化対策のいくつかを検討した。 有機溶媒抽出-紫外線分解-イオンクロマトグラフィーという操作の組み合わせによって、有機ハロゲン化合物を無機ハロゲン総量として定量する方法について検討した。紫外線分解条件では、固体の水酸化ナトリウムを2-プロパノールに溶解した分解剤を用いることにより、有機ハロゲン化合物から100%のハロゲン回収率が得られた。イオンクロマトグラフィーでの妨害成分の除去には、試料前処理用カートリッジとODSガードカラムが有効であった。飛灰中の有機ハロゲン化合物の定量を行い、有機塩素化合物総量(Total Organic Chlorine: TOCl)と有機臭素化合物総量(TOBr)をそれぞれ定量できた。流動床式小型実験焼却炉から排出される燃焼廃ガス中の有機塩素化合物をTOClとして定量できた。 供給試料中へのCaCO_3の混合実験と、二次燃焼室へのNH_3の注入実験により、流動床式小型実験焼却炉からのHCl、SOx、NOxの有害ガス成分およびクロロベンゼン(CBzs)・クロロフェノール(CPhs)の有機塩素化合物の低減化対策を実験的に検討した。CaCO_3の添加によって廃ガス中のHClとSOxは効果的に減少し、二次燃焼室温度800℃、Ca/Cl_2モル比=2においてHClの減少は95%以上であった。一方、廃ガス中のNOxは増加した。これはCa系化合物の酸化触媒作用によると考えられた。同時にCOも減少し、CBzs・CPhsはCa/Cl_2モル比=3の条件でCBzsは30%以下に、CPhsは50%以下に減少した。NH_3の注入によっては、廃ガス中のNOは減少した。NH_3/NOモル比=1のとき除去率は約30%であった。廃ガス中のCBzsも減少し、NH_3/NOモル比=1のときに約50%、NH_3/NOモル比=5のときに約70%の低減化効果が得られた。
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