平成5年度はまず、建物に作用する荷重・建物の応答などを考慮して、地震時に基礎抗に作用する繰り返し鉛直荷重の工学的性質を評価し、これに基づいて模型実験および数値解析の条件を決定し、模型砂土槽と模型抗(4成分コーン)を用いた模型実験を行った。この実験に際し、ディジタルデータレコーダを主要備品として購入し、実験に使用した。既存の施設では模型抗の微小な引き抜きの制御に対応していなかったため、これに対応できるような治具を工夫して作成し、これを解決した。また、引き抜き時の微小な変位も測定できるように、2種類の変位測定器の解像度に応じた使用とその取り付け方を考案して、実験を行った。平成6年度も含めた実験結果から、繰り返し鉛直荷重を受ける抗の周面摩擦抵抗は、繰り返しの回数と関係があり、5回までの繰り返しで周面摩擦抵抗が40%ほど減少するが、それ以上の繰り返しによっては周面摩擦抵抗はそれほど低下しないと考えられることが明らかになった。また、この際、せん断応力比の値はほぼ安定しているので、周面摩擦抵抗の値を左右するのは側方土圧であるとみなすことができることが明らかになった。 平成7年1月17日に兵庫県南部地震が発生し、破壊のファクターの一つとして、破壊外力の速度が非常に大きかったことが考えられている。本研究で行った実験に用いた実験装置では、速度に依存した動的なファクターの考察を深めることは不可能であるが、この点について、さらに別途検討を進める必要があるものと考えている。
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