研究概要 |
申請者らが既に収集してきた強震記録のデータセットを補強し,1500成分以上の記録を収集・整理した.特に,最近の日本の地震(例えば,1978年伊豆大島近海地震,1980年伊豆半島東方沖地震,1983年日本海中部地震,1987年千葉県東方沖地震,1993年釧路沖地震,1993年北海道南西沖地震)の強震記録のデータ収集に努めた.記録の収集の際には,北海道大学,京都大学,東京大学,気象庁などの協力を得た. また,各強震観測点での既存の地盤資料を収集・整理した.伊豆地域の4観測点で常時微動測定を行い,地盤特性を調査した.これらの資料に基づいて,各観測点で地表から深さ30mまでの地盤の平均S波速度を推定した. 日本の地震の強震記録の最大速度について計算したところ,平均S波速度が遅い観測点ほど平均的な距離減衰式に比べて大きな観測値が得られる傾向にあることがわかった.そこで,観測記録から地盤のS波速度の影響を取り除き,硬質地盤上で期待される最大速度値を求め,その距離減衰特性について予備的な検討を行った. その結果,(1)同一地震については硬質地盤での最大速度値の距離減衰は非常にまとまりがよいこと,(2)最大速度値の地震規模依存性には非線形性がみられること,(3)最大速度値が飽和し始める距離に地震規模依存性がみられること,(4)得られた値はカリフォルニアの地震の強震記録から期待される値に比べて有意に大きいこと,がわかり,今後データを補強してさらに検討を進めることとした.
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