研究概要 |
前年度までに収集してきた強震記録のデータセットを補強し,1500成分以上の強震記録を収集・整理した.特に,1995年兵庫県南部地震の強震記録やその最大加速度値,最大速度値も収集・整理し,データセットに組み込み,震源近傍での記録の充実につとめた. しかし,震源近傍での記録の数は限られていることから,震源近傍での観測された現象から地震動の強さを推定することも行った.例えば,1906年姉川地震の震源近傍で観測された鐘楼の跳躍現象から,その地点の地震動強さが最大地動速度で100cm/sないしそれ以上であったものと推定した.他のいくつかの事例についても同様の推定を行い,これらの推定値もデータセットに加えた. 地震波の発生・伝播の理論を考慮して,地震動最大速度振幅の距離減衰式を提案した.地震の規模についてはモーメントマグニチュードを,地盤条件については地盤の平均S波速度を,それぞれパラメータとして採用した.関数形は地震のスケール則を考慮して,非線形のものを採用した. 得られた距離減衰式を1995年兵庫県南部地震の観測値や震源近傍でみられた現象からの推定値と比較したところ,両者は比較的よく一致し,提案式が震源近傍でもある程度適用可能であることを確認した.
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