軟弱地盤における地盤の応答特性の予測精度を把握するため、等価線形解析、ひずみ振幅依存型等価線形解析、一次有効応力解析法により、間隙水圧上昇を含む鉛直アレイ地震記録の比較解析を行った。最大速度はいずれの解析法である程度の精度で予測出来るが、最大加速度と伝達関数の予測は等価線形解析では50gal程度まで、ひずみ振幅依存型等価線形解析では150gal程度まで、有効応力解析ではそれ以上でも有効であることが分かった。また、間隙水圧圧が上昇する場合は、初期有効応力の5%程度の上昇までは、ひずみ振幅依存型等価線形解析でも有効であるが、それ以上では非線形解析のみ有効であることが分かった。次に、遠心載荷装置を用い地盤・杭・構造物系モデルに対する水平振動実験を行った。地盤の固有周期T_b、構造物の固有周期T_g、杭の曲げ剛性、入力地震動を変化させた実験から、杭に働く曲げモーメントは地盤変形によるものと、構造物の慣性力によるものがあることを確認した。また、T_bがT_gより大きい場合、構造物の変形と地盤の変形が逆位相となること、T_bがT_gより小さい場合、構造物の変形と地盤の変形が同位相になる場合の多いことが分かった。この結果、杭に生ずる曲げモーメントは、T_bがT_gより大きい場合、地盤変形によるものと構造物慣性力によるものを同位相で重ね合わせたものになり、TbがTgより小さい場合、地盤変形によるものと構造物慣性力によるものを同位相で重ね合わせたものになる場合の多いことが分かった。以上の結果に基づいて、応答変位法を用いて杭に発生する曲げモーメントを簡便に予測する可能性を検討した。
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