研究概要 |
1.屋根雪を滑雪によって落雪処理して屋上積雪荷重を低減することを考えるとき,滑雪の阻止力として働く低温下での屋根雪と屋根葺材の凍着現象を検討する必要がある。この凍着は屋根雪の滑雪に対し,多大な抵抗力であることから,その発現過程を明らかとし,各種屋根材料における凍着強度について検討した。 2.屋根雪と屋根葺材の凍着過程は,試験建物の屋根温度測定した結果,屋根部位によって異なる屋根面の温度に影響されることが判った。このことから,降雪時の外気温と屋根面温度によって生ずる異なる凍着状態を,雪の融雪状況すなわち含水率で分類し,凍着過程をモデル化をした。なお,このモデル化に際して北海道内各地の気象統計を整理し,降雪時の温度分布を考慮した。 3.モデル化した凍着状態を基に,各種の屋根葺材における凍着強度を測定し,材料の表面性状との関係を検討した。その結果,材料の表面粗さおよび表面自由エネルギーを用いて,塗装鋼板,膜材,金属材およびガラスなどの凍着強度を凍着状態別に評価することが出来た。 4.次に,屋根構法が及ぼす滑雪現象への影響について検討した。前述のように,屋根面には屋根部位による温度差が生じていることから,屋根雪が不均一な部分落雪などを生じる場合がある。この現象を説明するため,屋根構法から生ずる屋根面温度を分布を再現し,そのときに起こる屋根雪の部分落雪メカニズムを実験的に解明した。 屋根雪の不均一な落雪現象を推定するため,各種屋根形状における屋根雪の堆積状況を模型雪を使った風洞実験を行った。この実験によって,屋根雪の堆積分布が明らかとなったので,次年度は,この堆積状態に基づいた凍着強度の評価および部分落雪の発生メカニズムを検討する予定である。
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