研究概要 |
◆本年度の研究実績の要点を示すと以下のようになります。 1.降雪特性からみた積雪荷重の評価 積雪荷重を評価する際の基本となる地上積雪深は,数回の多量降雪によって急激に増加して最多性積雪深に至る場合が多いことから,北海道内22気象官署地を対象にして多量降雪時における降雪・風速状況を検討した。その結果,全地点において10cm以上の降雪日に急激な積雪深増となり,最大積雪深に至ることが分かった。このことから,現行の荷重指針で用いられている「1・2月の平均風速」よりも「日降雪深10cm以上の日の平均」を用いる方がより適切な屋根上積雪深を推定することが可能になることを明らかなした。 2.風洞実験による屋根上積雪深の推定 大型粉体専用風洞装置を用いて,各種屋根形状に対応する基本的な屋根上積雪形状を推定するために,各種屋根形状の模型を対象にして実験を行った。その結果,屋根の形状,屋根方位と風向の関係などの基本的条件を設定することによって,模型雪を用いて屋根上積雪形状を推定する手法を確立した。 3.屋根雪の滑落開始に関わる材料特性の検討 屋根雪の滑落現象は屋根葺材と雪との氷点下での付着(凍着)に大きく支配されることから,この凍着現状の生成過程および凍着強度に関する検討を行った。その結果,降雪後の気象要素の推移パターンに応じた凍着状態があることを明らかにし,それらの状態に対応する各種屋根葺材の凍着強度を評価した。さらに,凍着強度を評価するための材料特性について明らかにした。 4.屋根雪の部分的な滑落現象の検討 実際の建築物における屋根雪は,不均一な屋根面温度あるいは複雑な屋根形状によって,部分的な滑落現象が生じることから,この現象を理解するためのモデル実験を行い,屋根雪の滑落抵抗諸力が及ぼす部分的滑落現象について検討した。その結果,屋根の棟およびけらばの雪が滑落しない部分になることを示し,それぞれの状態における滑落現象を実験で再現した。また,その結果を基にして屋根雪に作用する応力分布を明らかにした。
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